ブログ 第7回 「米国トヨタ移転」

 
みなさん、こんにちは、世野いっせいです。
久々のブログです。

今回は、プロジェクトWAKYOの会員さんからの反響も大きかった「米国トヨタ移転」の話題を取り上げたいと思います。

— 2014年4月28日、北米トヨタは、米国の販売部門の大半をカリフォルニア州トーランスから、テキサス州ダラス郊外のプレイノに移転すると発表した。

このニュースは、トーランス市にとっては一大事件でした。

トーランス市にとってトヨタは一番の稼ぎ頭であり、
何よりもトーランス市民の誇りでした。
市は、大きな税収を失うことも、もちろん、大きな痛手ですが、
それよりもトーランス住民の感情的な喪失感や、トーランス市全体の経済に与える影響はかなり大きなものになると考えられました。
当然、日系のレストランやスーパー、駐在日本人を対象とした様々なサービスも影響を受けるでしょう。
さらに、移動する従業員は3000人とも5000人とも言われていて、
その家族も含めると、1万人以上の人々がトーランスを出て行く可能性があるということです。

まさに「オー・マイ・ガッ!!」ですね(笑)

WAKYOでは、カリフォルニア、特にこのトーランスを中心としたエリアを推奨してきましたから、今後、このエリアの不動産はどうなっていくんだろう?と多くの会員さんが心配していらっしゃると思うんですが、
その話はブログの最後に書くことにして、
まず、なぜトヨタが移転することになったのかを少し話したいと思います。

実は、このニュース、『THE WALL STREET JOURNAL』では、
“ テキサス州に逃げるトヨタ ”と題されていました。

何から逃げるのか?

そうです、税金です。
カリフォルニア州は、全米で最も州の個人所得税率が高いんです。

一方、テキサス州は法人も個人も所得税が課せられません。
ということは、従業員の給与コストを低く抑えられるということになります。

さらにテキサス州は、トヨタの移転費用として4000万ドル(約41億円)を提供することを約束したそうです。

トヨタの北米事業を統括している、ジム・レンツ氏によれば、
テキサス州への移転の理由をこう述べています。

① 法人に優しいビジネス環境
② 他のトヨタの事業拠点から近い
③ 2つの大きな空港(4つの国際空港を含む28の空港)
④ 個人の所得税が無いこと
⑤ 手頃な住宅価格と質の高い教育環境

特に、④と⑤は、不動産投資家としては、見過ごせない項目ですね。

そもそも、トヨタはなぜ最初の拠点をカリフォルニアにしたのでしょうか?

トヨタは、1957年8月米国カリフォルニア州法人「TOYOTA Motor Sales,U.S.A, Inc.」を設立しました。
設立当初、本社が置かれていたのは、なんとハリウッドでした。
当時は、日本から米国にクラウンを輸出し、米国で販売していました。
その販売拠点が、ハリウッドだったわけです。
当時、日本から米国に輸入した車両が到着する港があるカリフォルニア・ロサンゼルス近郊に拠点を置くのはごく自然だったと思います。

ところが現在、トヨタは米国内で販売する車両のほとんどは、米国内で生産しています。もう、港が近くなくてもいいんです。
税金が高い州にわざわざ留まる必要がないのです。

では、テキサスという州について少し触れたいと思います。

まず、人口ですが、約2500万人でカリフォルニア州に次いで全米第2位。
テキサス州第1の都市はヒューストンで、全米の第4位の都市です。
面積もアラスカ州に次いで第2位で、日本の国土の1.8倍を誇ります。

テキサス州は、20世紀半ば、大学に大きな投資をしたことにより、
多くのハイテク産業を生み出しました。
特に、畜産、石油化学、エネルギー、コンピュータ、電子工学、宇宙工学、バイオテクノロジーの分野で先頭を走っています。

テキサス州に本社を置く企業には、エクソンモービル、デルコンピュータ、アメリカン航空、サウスウエスト航空、AT&T、フリトレーなど、そうそうたる面々。
州総生産(GSP)は全米第2位で、カナダやインド一国に匹敵します。
現在、フォーチューン500に入る企業は全米1位を誇ります。

ちなみに、テキサス州は「低い税率、低いサービス」と言われ、
サービスはあまりよくないことでも有名です(笑)

また、個人所得の伸びが大きい都市圏ランキングでは、
テキサス州ミッドランドが、ここ数年首位をキープしています。

さらに、先ほども触れましたがテキサス州は、
法人、個人共に州の所得税がありませんので、
これからも多くの企業や個人が移住してくると考えられています。

いかがでしょうか?
テキサス州、非常に魅力的ですよね。

特に、不動産投資家にとって、ほんとに魅力的ですよね。
人口が伸びてて、所得が伸びてて、学校・教育が充実してて、
まだまだ物件の価格が安い。

いや〜、言うことなしです。

では、トヨタが移転してしまうトーランスはどうなるの?

不動産価格が下落するんじゃないか?
将来の不動産市場がどうなるのか不安だ。
などの意見があるでしょう。

大丈夫です。
みなさん安心してください。
カリフォルニアは大丈夫です。

一時的にトーランスの一部の不動産価格が下落することはあると思いますが、
すぐに市場価格は戻ってくると思います。
リース・賃貸需要は確かに減るかもしれませんが、
売買に関してはむしろ活発化すると思われます。

実は、この状況は、不動産投資家にとってみると、大きなチャンスなんです。
トヨタの社員たちは、割と資産価値の高い住宅に住んでいます。
ということは、資産価値の高い物件が、数多く市場に出てきそうです。
さらに、急いで売りたい人というのは、案外、割安で売ってしまうものです。
これらの状況を考えると、資産価値の高い物件が、割安で買えるチャンスだなと思って僕自身はワクワクしています。
今現在、資産価値が高くて良い物件というのは、なかなか市場に出てきませんから、取り合いになることは必至です。

地元の不動産会社やエージェントたちも、
これだけ多くの物件が動くことは、本当に稀なので、
これをチャンスとばかりに準備をし始めたようです。

このあたりの詳しい状況は、また時期を見て、
米国エージェントの牧野さん、大原さんあたりにレポートをしてもらうことにしましょう!!

Leave A Reply (3 comments so far)


  1. 1ki members
    10年 ago

    世野さんいつもいつも面白いブログありがとうございます!


  2. 3ki
    10年 ago

    なるほど!納得の見解です!


  3. 3ki
    10年 ago

    なるほどですね!勉強になります。「合理性を重んじるトヨタならでは」の動きと、不動産の動きは連動してるんですね。

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